ビスフォスフォネート剤の問題点

こんにちは!
いしはた歯科院長の石幡一樹です。
今日も久喜は朝から暑くてまいります。
私の風邪はようやく山を越えて少し良くなりつつあります。

今回はビスフォスフォネート剤の問題点について書きます。

ビスフォスフォネート剤の問題点として、2003年に米国で顎骨壊死(がっこつえし)が報告されました。
顎骨壊死とは、その名前のとおり 顎の骨が腐って(壊死して)いく病気です。
なぜ顎骨壊死(がっこつえし)が起こるのかという正確なメカニズムは2010年現在分かっていません。
現段階(2010年)で考えられることとして、顎の骨は、他の骨より血行に富んでいる
噛む力が頻繁に顎の骨におよぶため、骨折しやすい。歯肉の厚みは、腕や足の粘膜より薄く傷等で粘膜が切れやすい
口腔内は、常に食事をする場所であるため、炎症がおきやすい 
等の理由が考えられていますが、正確なところは分かっていません。

ビスフォスフォネート剤を使用している患者様が、抜歯等の歯科治療を行うと
抜歯部が治らずに骨がむき出しになり、骨の壊死が起こることが報告されています。
ただし、顎骨壊死(がっこつえし)は、ビスフォスフォネート剤を使用している全ての人に起こるわけではありません。
使用方法 や 使用期間…等ざまざま な条件によって違ってくることが少しずつ分かってきています。

ビスフォスフォネート剤は、注射で行う方法と飲み薬として服用する2つの使用方法があります。
この2つの方法でも顎骨壊死(がっこつえし)の発生頻度が変わってくると言われています。
2007年 米国の口腔顎顔面外科学会では、ビスフォスフォネート剤を注射で使用した場合、
0.8~12%で顎骨壊死(がっこつえし)が発生すると報告しています。

また、2007年 オーストラリアの口腔顎顔面外科学会では、ビスフォスフォネート剤を注射で使用した場合、
0.88~1.15%で顎骨壊死(がっこつえし)が発生すると報告しています。
抜歯を行った患者では、6.8~9.1%の発生率と報告されています。
10人に抜歯等の外科処置を行うと1人程度は顎骨壊死(がっこつえし)が発生するということです。
また、こうしたビスフォスフォネート剤使用による顎骨壊死(がっこつえし)の発生率は、
使用期間が長い場合と使用量が多い場合で高くなることも報告されています。
さらに発生率は、喫煙者で7.4倍、肥満の方で16.6倍リスクが高くなるとも報告されています。

それに対し、ビスフォスフォネート剤を経口で服用する場合
注射で行う場合と比較すると顎骨壊死(がっこつえし)の発生率は、低いとされている。
また、アジア人と欧米人では、アジア人の方が顎骨壊死(がっこつえし)の発生率が高い可能性も示唆されている。
(まだ確立されたデータではない)上記のようなデータは、まだ確立されたものではありませんし、
ビスフォスフォネート剤使用による顎骨壊死(がっこつえし)の発生メカニズムも完全には解明されていませんが、
問題が起こっているのも事実です。そのため、リスクを少しでも減らすためには、
ビスフォスフォネート剤を使用する前に 徹底した歯科治療を完了させることが重要です。
例えば、抜歯が必要な歯があった場合には、ビスフォスフォネート剤治療前に抜歯するとか
不適合な義歯(入れ歯)を使用していると粘膜に傷がつき、そこから感染が起こり、
顎骨壊死(がっこつえし)を引き起こす可能性があるため、義歯の調整をきちんと行う必要性もあります。
また、歯周病 等の問題がある場合には、ビスフォスフォネート剤治療前に徹底して治療を完了させておくことが重要です。
それでは、ビスフォスフォネート剤をすでに使用されている場合はどうすれば良いのでしょうか?
ビスフォスフォネート剤が注射によるものか経口服用によるものかにもよって違いますが、
2007年の米国口腔顔面外科学会のガイドラインによるとビスフォスフォネート剤の使用期間が3年未満の場合で、
他のリスクが低い場合には、ビスフォスフォネート剤の中断を行わないで歯科治療を行うべきとされている。
ここでのリスクとは、悪性腫瘍がある方、ステロイド療法を行っている方、放射線療法を行っている方、
糖尿病の方、人工透析を上受けている方、喫煙者、肥満の方…等です。
もし、リスクがあれば、リスクを回避(改善)することを行い、
一定期間ビスフォスフォネート剤の中断を行ってから歯科治療を開始した方が安全性が高いとなっている。
しかし、ビスフォスフォネート剤の使用期間が3年以上の場合やリスクがある患者様の場合には、
ビスフォスフォネート剤を3ヶ月以上中断してから検討する必要性があるとしている。
(ただし、この休止期間の3ヶ月という期間には確定した根拠はまだない)

インプラント治療とビスフォスフォネート剤との関係については、まだ、研究数が少ないので正確ではありませんが、
経口服用であり、使用期間が短い、リスクが少ない 患者様の場合には、ビスフォスフォネート剤を
使用していない患者様と比較して 成功率に差はないことが報告されている。
しかし、こうしたデータも確立されたものではありません。
現段階では、ビスフォスフォネート剤使用患者様に対して積極的にインプラント治療を行わない方が良いと考えられます。

すでにビスフォスフォネート剤をご使用されている場合には、早めに歯科を受診し、現状をきちんと把握することが大切です。
そして、将来性を考え、もし抜歯が必要と考えられる歯があれば、
状況により早めに抜歯 等の対応をとった方が良い場合もあります。
高齢になればなるほど患者様のリスクは高くなってきますので、リスクが少ないうちにきちんと対応することが必要です。

インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科までお越し下さい。

久喜 歯医者 いしはた歯科 電話 0480-24-6480 Dr かずき

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