口の周りの筋肉と健康の意外な関係

こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日は私は休みでしたが医院は元気に診療中でした。

さて今回の歯の話ですが、口の周りにある口輪筋という筋肉について書かせていただきます。
お口は「健康への入り口」です。皆さんもよくご存知だと思いますが、お口は、食べる(栄養の摂取,健康維持)•話す(情報伝達、社会生活の充実)•呼吸(酸素の供給,生命維持)などに関わる大切な器官です。でも今回は、ひとまとめにお口の事ではなく、もっと細かく口唇の周りの筋肉「口輪筋」についてのお話しと、口の周りの筋肉と健康との意外な関係や、口輪筋の鍛え方などについてご紹介します。

『口輪筋』って?
口輪筋は、唇の周囲を取り囲む筋肉の事で、唇を閉じたりすぼめたりする時に使いますが、普段意識して動かすことが少なく、加齢とともに衰えてしまいます。
口角が下がってくるのもそのせいです。
また、たくさんの表情筋が口輪筋から放射状に伸びており、口輪筋が弱くなると、周囲の表情筋もあまり動かなくなり表情が乏しくなります。
また、口輪筋の衰えは、物をうまく飲み込めない、発音が聞き取りにくい、などの原因になったりします。
また、唇をしっかり閉じていられなくなり口で呼吸をするようになったりします。

『口輪筋』の意外な影響。
◆お口の健康の悪化
口輪筋が衰えると、口を閉鎖していられなくなるため、唾液が蒸発して口の中が乾燥するようになります。
そのためプラークや細菌が抑制されず、ムシ歯の多発や歯肉炎、歯石も沈着、歯周病、口内炎、口腔乾燥症、口臭に影響を及ぼします。

◆のどの炎症や全身的な病気に
口輪筋の衰えは、口呼吸を誘発します。
鼻呼吸は、空気の温度や湿度を調節し、呼吸器の乾燥を防ぎ体内に異物が入るのを防いでいるのですが、口呼吸ではウイルスや細菌がのどの周りにある扁桃(ワルダイエル咽頭輪)に直接付いていてしまい咽頭炎,扁桃炎や慢性的な炎症を起こし易くします。
炎症の毒素が血管やリンパ液に乗って、離れた臓器に運ばれるとぜんそくや気管支炎アトピー性皮膚炎などのアレルギーになることもあります。

◆イビキと無呼吸
口輪筋の筋力が低下していると睡眠中に口が開いてしまい、舌根が沈下し気道を塞ぐので、イビキ(空気が通りにくく粘膜が振動してしまう)や無呼吸症候群を起こしやすくなります。酸素不足が、眠りを浅くし睡眠不足、記憶力低下,肥満の原因,不整脈、脳疾患や高血圧、糖尿病原因になったりします。

どうして『口輪筋』の力が弱くなるのか?
◆赤ちゃんの時の授乳の影響
授乳時に、おっぱいがよく出るお母さんで、吸う力の必要がなかった赤ちゃんや、強く吸わなくてもいい哺乳瓶で育った赤ちゃんは、口輪筋が発達せずに、口を開けて寝る習慣が付いてしまうことがあります。赤ちゃんはただおっぱいを吸っているだけではなく、授乳期に使われる筋肉は、口唇と舌の協調運動の発育に影響しています。

◆老化
加齢とともに筋力が弱くなり口輪筋も低下します。男性で60 才前後、女性で70 才前後から著しく口唇閉鎖力は低下します。また、大病をすると口唇閉鎖力の低下を招きます。老人顔、気管に食べ物が入る「むせ」など不快現象や誤飲性肺炎も起こしやすくなります。

◆病気の後遺症
脳梗塞等の病気の後遺症による麻痺や摂食機能障害も、著しい口唇力の低下をおこします。

健康だけではありません。唇を動かす『口輪筋』こそが美顔の基本!
顔には、24 種類の表情筋が分布し、表情を作っています。表情筋は、いわば顔の土台です。
老化で筋肉が衰えてくると、上を覆っている皮膚が支えられず、血液やリンパの流れが悪くなり、老廃物や水分が溜まり、たるみやシミ、しわの原因になるのです。
そこで、表情筋を鍛え老化をおさえるのが表情筋エクササイズです。
このエクササイズで最も重要なのは、口輪筋なのです。殆どの顔の筋肉は、口の周りにつながっています。
口輪筋を動かすだけで、頬や目の周り、おでこの筋肉までも、活発に動かすことができます。

『口輪筋』を鍛えていつまでも若く美しく。
テレビでおなじみの宝田恭子先生(宝田歯科医院の院長先生、日本アンチエイジング歯科学会理事)です。
「きれいは口元から」をモットーに口元の筋肉を中心に、表情筋を鍛えるエクササイズを歯科医院に取り入れている先生です。
先生の所では、いろいろな表情筋トレーニングを指導していますが、中でも簡単に取り入れられる方法としてパタカラをおすすめしています。

『口輪筋』を鍛える装置 パタカラ。
パタカラって、変な名前でしょう?実は、歴とした医療器具なんです。
リハビリ用器具として、使われていて、とくに脳卒中や脳障害による発音障害の発音練習で「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」が顔や口、舌の筋肉を活性化させる発生音なので、そこから採用したそうです。顔面麻痺や摂食機能障害の治療にも使用されています。
健康や美容、アンチエイジングに興味があるお母様は、お子様と一緒にトレーニングをしてみては、いかがでしょうか?
器具でのトレーニングは、負荷もかけやすく、簡単なトレーニングで効果が期待できます。表情筋エクササイズのようにいろんなトレーニングは難しいという人には、最適です。

お家にある物でも『口輪筋』は鍛えられます!
直径2,5 ぐらいの薄いボタンと糸(デンタルフロス、たこ糸)ペットボトル、風船を用意します。
ボタンに糸やデンタルフロスのような細い紐を通して輪に結びます。ボタンを唇の裏(歯の前)に入れ、唇を閉じておさえます。
ボタンが口から飛びだす寸前の程度の力で紐を前方にひっぱります。そして力をゆるめます。これを10 回繰り返します。
先ほどのボタンに、片側に水の入ったペットボトルやスプレーに引っかけます。
ボタンを唇の裏(歯の前)に入れ、唇を閉じておさえます。容器をぶらさげたまま下を向いてキープ。
くちびるとほほの筋肉をつかって風船をふくらます。手は風船を支えるだけで、風船の口は指で押さえない。
息を吸い込む時は鼻から吸い、風船から空気が漏れないように、くちびるでしっかり保持しておく。

2ℓの空の柔らかめのペットボトルを用意します。力いっぱい空気吸い出して空気を吹き込むだけでOK.ウエストにも効果があります。
立ち姿勢で、ペットボトル2ℓを持ち唇を突き出して息を思いっきり吐き出します。
先ほどの口のまま、空気が漏れないようにペットボトルを唇だけでくわえ、背筋を伸ばしてスタンバイ。
肛門を閉めて、腹筋を意識してゆっくり息を吸い込みます。頬にかかる付加を意識します。
吸い込んだら、肛門をゆるめて、8カウントで息をゆっくり吐き出します。出来れば3セット行いましょう。
足は肩幅ぐらいに開き、背筋をのばして、安定した姿勢で行いましょう。最初に出来るだけ息をはくのがコツです。

親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。

久喜市 歯医者 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき
2018年5月17日

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