インプラントと糖尿病など全身疾患の関り

こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は台風一過でまた猛暑です。35度は超えていないと思いますが暑いですね。

さて今回の歯の話ですが、インプラントと糖尿病などの全身疾患の関わりについて書かせていただきます。
インプラントと糖尿病
糖尿病の患者様を考慮する点は、主に以下の2つでしょう。

1)糖尿病では細菌の侵入に対して抵抗力が弱く、

「傷が感染しやすい」・「創口が治りにくい」という点です。
すなわち手術を行った部位が感染しやすかったり、傷の治りが一般的にやや遅れる場合もありますが、抗生物質の適切な内服など術前から感染対策を十分にしておけば、問題なくインプラント手術は可能です。

次に

2)糖尿病の方は血糖降下剤の内服やインスリンの自己注射をなさっている場合がございます。

この場合に問題となるのはインプラント手術当日の内服や自己注射のタイミングです。
手術の後でご飯を召し上がりにくくなった場合、いつも通りに決まった時間に内服や注射を行ってしましますと、血糖値が下がりすぎてしまい低血糖症状が出現してしまいますので、担当歯科医の十分な医学的知識が不可欠です。

一般的に、インプラントは以下の基準となる値を参考に行われます。

術前のコントロール基準値
1.血糖値(空腹時 150mg/dl以下・ 最高値300mg/dl以下)
2.HbA1c 7~8%以下
3.尿ケトン体(-)
4.重篤な合併症がない(腎不全・心血管病変など)
なお、重症の場合には必要に応じて患者様の内科主治医と連絡を取り、患者様の不利益にならないよう様々な手段を講じればインプラント手術は安全に行えます。

インプラントと高血圧
・内科医から降圧剤を処方されている。
・会社の健康診断で血圧が高いと言われた。
・インプラントは高血圧でも可能でしょうか?

一般的に高血圧症とは
最高血圧140mmHg以下・最低血圧90mmHg以下
と定義されていますが、
インプラントは高血圧患者様になんの準備もせずに行うと、緊張感や不安感のため、血圧が10~30程度上昇したり、最高血圧が190以上に達すると術中気分が不快になったり動悸を訴える患者様がいっらっしゃいます。
また、局所麻酔薬の中に血圧を上昇させる成分が少々添加されています。

そんな時には鎮静法(点滴麻酔)をもちいれば、
手術をリラックスした状態で受けて頂くことが可能なため、
緊張や恐怖心による血圧の上昇を抑制することが可能です。

また重度の高血圧症の場合には、必要に応じて患者様の内科主治医と連絡を取り、患者様の不利益にならないよう様々な手段を講じております。

インプラントと心臓病
狭心症・心筋梗塞を罹患されたことのある患者様では、
血液をサラサラにするために小児用バファリンやワーファリンなどを内服されています。
この薬により手術中に血が止まりずらいことがございます。
以前までの学説では、これらの薬を1週間程度中止しなければ手術ができないと言われていましたが、
最近では内服を継続したまま手術を行っても、止血操作を適切に行えば問題はないとされています。

いずれにせよ、

狭心症・心筋梗塞
心臓弁膜症などで人工弁置換術を受けた方
重症不整脈で体内型ペースメーカーを入れていらっしゃる方
の場合には内科主治医と密接な連携をとり、手際のいい手術を行う必要があるでしょう。
ただし、、内科主治医と当院との厳密な情報交換をしなければなりません。

インプラントと脳梗塞
脳の血管が詰まる脳梗塞になりますと、片方の手が麻痺することがございます。
このような患者様が複雑な入れ歯をしていますと、ご自身ではずしたり洗ったりすることが困難になり、ご家族の方のお手を煩わせたり、不潔になった義歯をつけっ放しにせざるをえなくなります。
こんな時、インプラントならそんな心配は無用です。

また、脳梗塞患者さんは嚥下障害(食べ物を飲み込みずらくなる)を伴っていることもあり、こんな方が部分入れ歯をしていますと、 これを飲み込んでしまったり、肺の入り口にひっかかった場合は窒息する危険性もあるのです。

また、インプラント手術で気を付ける点は、脳梗塞の方は血をサラサラにする薬をお飲みになっている場合が多いので、内科担当医との連携をとって安全にインプラントをすることが望まれます。手術の後1週間ほどすれば薬を再開できますし、その後はその薬がインプラントに影響することはございません。

インプラントとその他の全身疾患
◆骨粗鬆症
骨粗鬆症は、腰・腕・カカトの骨などの骨密度および量的な減少を特徴とする疾患です。
インプラントを埋める顎の骨には、あまり関係性はないという研究結果があり、全く影響はありません。

◆腎臓病

腎臓病の患者様は、感染に対して抵抗力が低下する場合がございますが
インプラントは、殆んどの場合可能です。

腎不全で血液濾過透析治療を受けていらっしゃる場合は
内科主治医と相談を必要とする場合がございます。

◆肝臓病
術後に内服していただく抗生剤により肝機能が低下する場合がございます。
この場合のインプラントは、肝代謝性ではなく、腎排泄性の抗生剤を選択する事によって行うことが可能です。

親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。

久喜市 歯科 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき
2018年9月6日

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