がん治療による口腔内の副作用について

こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜はどんより曇り空で、我が家のあたりは小雪がちらついていました。

今回はがん治療による口腔内の副作用についてです。少し前に
がん治療による口腔粘膜炎などの口腔内の副作用は、どれくらいの割合で起こるのでしょうか。
米国の調査によると、抗がん剤治療を受けた患者10人のうち4人に口腔内になんらかの副作用がでています。
このうち2人は、口腔内にでた粘膜炎が強いため、抗がん剤の投与量を変更したり、
抗がん剤を投与するスケジュールを変更したりしています。
また、白血病やリンパ腫などの血液のがん治療で行われる骨髄の移植治療を受けた患者の10人のうち8人、
頭頚部がん(頭から首にかけての範囲にできるがん)患者で、口の周囲に放射線治療をうける10人のうち全員に
口腔内の副作用が出現するといわれます。しかし、がん治療がめざましく進歩しているにもかかわらず、
がん治療により口腔内にでる副作用に対する治療やケアは、十分なされてきたとは言えません。
病院では、抗がん剤、放射線治療で口にいろいろな副作用や障害がでることが分かっていても、
「粘膜炎のような副作用は一時的なものなので我慢してください」と説明されることがしばしばありました。

1.がん治療による口腔内の副作用とその対処方法

がん治療で起こる副作用はどのような症状なのでしょうか。
ここではがん治療で生じる口腔内の副作用の症状とその対処の方法を説明します。

1.抗がん剤治療で口にでる副作用

抗がん剤で起こる口腔粘膜炎

前回のがん治療と口腔粘膜炎の項でも説明していますが、抗がん剤投与を受けたときに起こる副作用で、
最も頻度が高いのが口腔粘膜炎です。口腔内の中でも頬粘膜、舌、くちびるの粘膜が粘膜炎を起こしやすい場所です。
粘膜炎が強く出ると、食事や飲水ができなくなり、点滴や管を使って水や栄養を補給します。
抗がん剤治療を開始して、1週間から10日ほどで粘膜の赤みや、粘膜がはがれる潰瘍ができます。
使用する抗がん剤の種類、患者の身長や体重、抗がん剤の投与量など様々な条件が異なるので粘膜炎のでき方は患者によりまちまちです。

<対処方法>

抗がん剤で起こる粘膜炎を抑える薬の開発は、現在欧米で進められています。
私達がその薬を使えるまでは、もう少し時間がかかりそうです。
それまでは、口腔粘膜炎の対策として、(1)口の中をきれいに保つ、(2)口の中を乾燥させない、
そして(3)粘膜炎の痛みに、痛み止めを確実に使うこと、この3つが基本になります。
実際、粘膜炎に使う痛み止めは、風邪の時に使う熱を下げるアセトアミノフェンという薬や、
非ステロイド系消炎鎮痛剤などが使われます。また表面麻酔薬といわれる
粘膜の知覚を一時的に麻痺させる薬を粘膜炎の部分に直接塗ったり、うがい薬に混ぜて使ったりします。

体力の低下によるむし歯や歯周炎の悪化

むし歯や歯周炎が治療されていない状態でがん治療が始まってしまうと、体力が落ちます。
その結果、体の抵抗力も落ち、健康なときは、痛いとか腫れたという症状がなかった部分なのに、
急に炎症を起こし歯肉や、顎骨に痛みや腫れが起こります。

<対処方法>
むし歯や歯周炎の悪化を防ぐには、抗がん剤治療を開始する前に、歯科を受診して
むし歯、歯周炎のチェックや治療を受けることです。がん治療までの歯科の治療期間が限られることが多いのですが、
かかりつけの歯科医師に、自分が予定しているがん治療のスケジュールを説明し、
なるべく短期間で歯科治療を終了してもらうようにお願いしましょう。

口腔内の細菌やウイルスが原因の口内炎

口腔内の細菌やウイルスが関係するものは、抗がん剤の投与を受け全身の機能が低下した患者によく起こります。
口腔内の細菌で、カビの一種であるカンジダ菌が原因のカンジダ性口内炎、ヘルペスウイルスによるヘルペス性口内炎などがあります。
これらは、いずれも診断がつくと、薬で治癒することができます。粘膜の痛みはそれぞれ違います。
カンジダはピリピリ、チクチクといった痛み、ヘルペスは刺すような強い、ジーンとする痛みの違いが病気の診断の手助けになります。

<対処方法>

口内炎の症状を、早めに医師、看護師またはかかりつけの歯科医師に報告します。
診断に基づいて薬が処方されますので、指示通りに服用します。いずれも治療により速やかに症状は良くなります。

2.放射線治療で口腔内にでる副作用

口やのどのがんで、放射線が口の周囲にかかる場合は、ほぼ全員に口腔内に何らかのトラブルが起こります。

放射線治療で起こる強い粘膜炎

口腔粘膜炎・味覚の障害は、抗がん剤治療と同じように症状がでますが、それより強く出るのが特徴です。
放射線療法は、最初の1~2週間ほどで、口腔内の粘膜は赤みを帯びて、軽い痛みが出てきます。
その後、粘膜炎は強くなり、強い疼痛が持続するようになり、飲水・食事ができなくなります。
放射線治療は通常1ヶ月から1ヶ月半にわたって行われます。
放射線治療が終了して約3~4週間後、粘膜がもとの状態に戻ると、食事もとれるようになります。

<対処方法>

これも抗がん剤による粘膜炎と同様に、お薬で粘膜炎の発生を抑えることはできません。
口の中をきれいに保ち、口の中を乾燥させない、そして粘膜炎の痛みに対して、痛み止めを確実に使うことが基本になります。

唾液の出る量が少なくなり口が渇く

放射線の影響で、唾液を出す細胞がダメージを受けるために、唾液の分泌が少なくなります。
この症状は粘膜炎と同様に患者に大変苦痛を与えます。多くの患者が、「口が砂漠のような状態でカラカラだ」、
「口の中がいつもネバネバして気持ち悪い」と訴えます。唾液が少なくなると
唾液の食べ物を洗い流す効果や殺菌効果が期待できませんので、むし歯がたくさん、しかも一気に増えることがあります。

<対処方法>

うがいを頻回に行い、口やのどの粘膜が乾かないようにします。
粘膜の乾燥に有効な市販のうがい薬やジェルやスプレーもありますので、自分に合ったものを選んで使います。
むし歯予防のためには、子供のむし歯予防に使うフッ化物の塗布が有効とされていますので、
定期的に歯医者さんでチェックを受けながらフッ化物を塗布してもらう、または自宅でもフッ素入りの歯磨き剤を使うようにします。
また、放射線により唾液を出す腺にダメージを受けたことによる口腔乾燥の場合は飲み薬で唾液を出しやすくするお薬
(塩酸ピロカルピン錠)をがん治療の担当医または、かかりつけの歯科医師に処方してもらうことができます。

口腔内の粘膜や顎骨の腐る症状

口腔内の粘膜の血液の流れが部分的に悪くなったり、血管を通して粘膜に十分な酸素が届かなかったりすると
粘膜が部分的にはがれる潰瘍ができたりします。同様に、顎の骨の血の流れが悪くなり
部分的に顎の骨が炎症を起こしたり、腐ったりすることもあります。
この症状は、顎骨骨髄炎とか顎骨壊死とよばれる状態です。
顎の骨の成分がもろくなったところに、口の細菌が入り込み慢性的な炎症を起こしたと考えられています。

<対処方法>

顎骨骨髄炎や顎骨壊死は、抗菌薬(抗生物質)で細菌を完全に抑えることが難しい病気です。
ですから、むし歯や歯周炎は治癒した状態で、放射線治療を受けることが一番の予防方法です。
実際、治療開始前に病院の歯科やかかりつけの歯科医院で、むし歯の応急処置、歯周炎の初期治療
そして保存の難しい歯の抜歯を短期間に集中して行います。
また放射線の治療終了後、抜歯や口の中の手術を行うときには、かかりつけまたは担当の歯科医師に
放射線治療を受けていることをあらかじめ報告して、適切な歯科処置を受けるよう配慮してもらいましょう。
抜歯や出血を伴う処置が、顎骨炎や顎骨壊死を引き起こす原因となることが多いからです。

親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科までお越し下さい。

久喜市 歯医者 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき

©2014医療法人社団 樹伸会 いしはた歯科クリニック